こんにちは!SST広報のツユです。
今回は、広報チームリーダーの大倉から「CTOのはせがわさんが、若い技術者たちに人気の理由を探ってこい」とのミッションを課せられたため、はせがわさんの母校、神戸市立工業高等専門学校(以下「神戸高専」)で行われた、はせがわさんの講演に同行して取材をしてきました。
はせがわさんとの心的距離が遠いので、明らかに人選ミスかと思いますが、これも仕事ということで…。私なりに頑張って”しぃーてぃー王”の魅力を探ってみたいと思います! ※にしむらさんによる「SSTメンバー紹介」の記事と併せて読むと、よりお楽しみいただけます。
そもそも「高専」とは?
高専、正式名称「高等専門学校」は、工学や技術などの専門的分野を、5年間一貫して勉強できる、実践的技術者を数多く輩出する教育機関です。Webセキュリティ業界で活躍している方の中にも、多くの高専出身の技術者がいます。 SSTのメンバーでは、CTOのはせがわさんをはじめ、システム&セキュリティチームのにしむらさんや、2016年新卒の熊野さん、2017年新卒の越智さんが高専出身者です。
またセキュラボアドバイザーとしてご協力いただいている岡田良太郎さんも、卒業生の一人です。
高専と聞いて「高専ロボコン」を思い浮かべる人も多いかと思いますが、高専ではロボット分野だけでなく、情報セキュリティ分野の教育にも力を入れています。 例えば、東京都立の産業技術高専では、「情報セキュリティ技術者育成プログラム」という実践的な教育プログラムが実施されています。
はせがわさんとにしむらさんの母校である神戸高専は、日本に57校(2016年現在)ある高専の中で唯一「市立」の高等専門学校になります。(「独立行政法人 国立高等専門学校機構」のサイト参照) 二人に入学した理由や、高専生活の思い出を聞いたところ、こんなコメントをもらいました。
はせがわ ようすけ
「勉強するのが嫌いで、高専に入れば大学受験を受けなくても、そこそこの就職はできると思って高専を選びました。校則らしい校則も特になく、自立し自由に学生生活を過ごせたのが良かったですね。」
にしむら あつたか
「私も大学受験をしたくなかったので高専を選びました。同じクラスで5年間を過ごすので、授業においても交友関係においても、密度が濃い学生生活を送れたことが良かったです。」
学校の雰囲気や学生さんたちを拝見して、私自身も、高校というよりは大学に近い、節度と自由さを感じました。
きっかけは”卒業生の声”
はせがわさんが母校で講師を務めたのは、「電気学会」「電子情報通信学会」「映像情報メディア学会」のそれぞれの関西支部が主催する、「准員および学生員のための講演会」という講演会です。 関西支部では、各地の大学や高専の教員や一般企業で活躍されている方を講師に招いて、関西各地の大学や高専を会場として年間で20回ほど講演会を行っています。
今回は、はせがわさん・にしむらさんの恩師であり、現在、神戸高専電子工学科長の笠井正三郎先生から、はせがわさんに講演のお話をいただきました。なんでも、高専のOBによる講演は珍しいことなのだとか。
笠井先生は、セキュリティ業界におけるはせがわさんの活動や評判については、ほとんどご存知なかったとのこと。ではなぜ、今回、はせがわさんにお声が掛かったのかというと、「学生向けの勉強会ではせがわさんの講演を聞いて感動した」との話を卒業生から聞いて、声を掛けてみようと思われたのだそうです。
「今と印象が全く変わらず、昔から面倒見が良くて、みんなから慕われていました。」
学生時代のはせがわさんについての印象を伺ったところ、こんなコメントが。実際、私もかなりお世話になっています。いつもありがとうございます。 はせがわさんの面倒見の良さは、セキュリティ・キャンプやコミュニティ、勉強会、千葉大学のバグハンティングなど、後進の成長を支援する活動でも発揮されているんですね。
また、「夏には、廊下の天井にパイプを通し、笠井先生の研究室のエアコンから、エアコンのない学生居室まで冷気を流していた」という、ユニークな話も伺いました。確かに、普通の学生は、思いついても実際にやろうとは思わないようなこと、今のはせがわさんもやりそうです。本当にお変わりないようで。そんな悪戯みたいな改造(?)を容認してくれる笠井先生の包容力も素晴らしいですね…!
講演が始まりました
肝心の講演は、かなりキャッチーなタイトル。「世界」「変える」「ハッカー」というフレーズに惹かれて参加した学生さんも多かったようです。 「ハッカーになりたい人は?」という、はせがわさんからの問いかけに、何人かの手が上がった一方、Webセキュリティに興味がある学生さんはほぼ皆無でした。 Webセキュリティ会社の広報担当としては、この結果に接して、もっと頑張らなければと思いました。学生さんたちの学んでいる専門分野とは異なる分野ではありますが、この機会に、各種脆弱性の名前だけでも覚えて帰ってもらえていたらうれしいです!
「じゃあ、これから講演始めますねー。話に飽きたら、携帯弄っていいですよ」 「努力が嫌いだったので、大学受験がなく就職にも有利になる高専を選びました」 「粗探しが性に合ってるので、脆弱性を見つけるのも楽しい」
開始するなりフラット感がすごい。講演中の携帯・睡眠学習を許可したり、学生時代にやんちゃをしているスライドや、自分の短所をラフに披露するなどして、学生さんたちをザワつかせていました。「この人、コンプレックスとかなさそう…」というのが、私の率直な感想です。
自身が社会人となってから、エンジニアになるまでの経緯をザックリと紹介した後は、SSTでの仕事や、主な脆弱性・サイバー攻撃などの紹介へ。代表的な脆弱性の仕組みや脆弱性の見つけ方についての、実演を交えながらの説明は、学生さんたちにも分かりやすかったようで、反応も良かったように感じます。
「便利で安全なシステムを普及させて『社会を良くすること』が『世界を変えること』になる。」
講演は、この言葉で締めくくられました。 「脆弱性を探してみたい」と感じた方もいたようで、神戸高専の学生さんたちに、Webセキュリティへの興味を持ってもらうきっかけになったものと思います。
一緒に講演を聞いたにしむらさんにも、はせがわさんの講演の感想を聞いてみました。
にしむら あつたか
はせがわが、外部で話しているのを聞いたのは初めてだったかもしれませんが、聴衆の学生さんに合わせた内容と話し方だったと思います。私にとっても参考になる、ためになる講演でした。また、うわさに聞いていた「超早口講演」が生で聞けたのが感慨深かったです。
余談:はせがわさんとにしむらさん
講演を担当したはせがわさんと、にしむらさんは、神戸高専の同級生同士。にしむらさんによる、はせがわさんの紹介記事にもあったように、思い出話にも花が咲いていました。
夏の体育の授業中に、にしむらさんが所属していたソフトテニス部の冷蔵庫で、体操服を詰めたビニール袋を冷やしていた話とか。授業をやっている教室の前をたまたま通りかかった、無関係な学生を、はせがわさんが廊下からその教室の中に放り込んだ遊びの話とか…。
そんな自由人・はせがわさんの紹介記事を書くために、にしむらさんが改まった態度で照れくさそうにインタビューしている様子が、付き合いの長さを感じられて、なんだかほほえましいなと思いながら見守っていた私でした。
ツユ総括
今回の講演依頼を引き受けた理由を、はせがわさんに尋ねたところ、「頼まれたので」と簡素な一言。 かっこいいことを言うのが苦手なのか、わりといつもこんな軽い感じで流されますが、後進の成長につながることならば、こだわらずに引き受けるスタンスなんだろうなと、私は勝手に解釈しています。
Webセキュリティ業界で優秀な人がたくさん育てば、その分、インターネットは便利で安全になっていく。Webセキュリティの人材育成ってつまり、はせがわさんの言う「世界を変えること」なのかな、と今回の講演を聴いて思いました。
SSTは、セキュリティコミュニティ支援やeラーニングのサービス提供といったアプローチで、セキュリティ人材の育成に尽力しています。 2015年に、はせがわさんがSSTにジョインし、人材育成支援にさらなる勢いがついたのも、はせがわさんの「世界を良くすること」への強い思いが影響しているのだと感じています。 これに加えて、2017年には千葉大学主催の「セキュリティバグハンティングコンテスト」への審査員としての参加や、今回紹介した神戸高専での講演など、その活動の幅がいっそう広がりました。
本人にそれを伝えても適当な関西弁でかわされそうですが、そういうところでかっこつけることもなく、面倒見の良い近所のお兄さんのような、身近で親しみやすい存在として接してくれるところが、若い世代からも好かれる所以なのではないでしょうか。 これからも、かっこつけない、熱いはせがわさんでいてください。
以上で、私なりの”はせがわようすけ調査レポート”もとい、”はせがわようすけ講演@神戸高専”のレポートを終わります。