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新型コロナウイルスへの対応の5か月を振り返る

こんにちは、CTOの長谷川です。気が付くと春を通り越してすっかり夏ですね。

緊急事態宣言の解除から3週間が経過し、少しずつですが日常が取り戻せつつあるように思います。一方で、この先もすべてが元通りに戻ることはなく、いい面でも悪い面でも不可逆な変化があり、それらを受け入れた新しい環境になっていくのだろうとも思います。

弊社では、新型コロナウイルスが話題になり始めた1月から段階的に様々な対応を採ってきました。多くの部分に関してはうまく対応できたように思いますが、あまりうまくいかなかった部分や現在進行形で抱え続けている課題などもあります。

この記事では今後の対応への糧となるよう、新型コロナウイルスへの弊社での対応過程を振り返ってみたいと思います。

タイムライン

1月に新型コロナウイルスが社会的問題となり始めたころからの弊社の対応を時系列に並べてみました。

日付 世間の動き 社内の動き
1月29日 国内最初の感染が確認される 在宅勤務の推奨、出勤時はラッシュを避けるよう社内に通達
2月19日 在宅勤務を強く推奨する体制に変更
3月2日 全国の学校が休校となる
3月5日 休校に伴う家庭での対応に関し、勤務時間変更や休暇等の希望があれば挙げてもらうよう社内に通達
3月5日 在宅勤務での電話対応のため自宅用のIP電話の準備を開始
3月23日 社内全体に向け状況説明のMTGを実施。この頃にはすでに最小限の人数のみの出社となっていた
3月26日 在宅勤務支援金として一人あたり1万5千円の支給を決定
3月30日 コーポレートサイトにも在宅推奨であるため電話がつながりにくい等の案内を記載
4月1日 新入社員入社。オンラインでの入社式を開催
4月1日 客先訪問、出張の禁止の明確化
4月8日 東京、福岡等7都府県に緊急事態宣言が発出 緊急事態宣言に伴い「在宅勤務を強く推奨」から「原則在宅勤務」(出社禁止)へと変更
4月28日 ・本人ならびに家族が罹患した場合の連絡や対応方法についてのガイドラインを社内公開
・出社および業務上接触した人に関する記録方法の明確化
・万が一感染した場合に医療機関や取引先、関係者に感染情報を提供することへの同意を社員から取得
5月14日 福岡県の緊急事態宣言が解除
5月25日 東京都の緊急事態宣言が解除 介護や育児などで労働時間の確保が難しい社員向けに特別有給休暇の付与、フレックスタイム制度におけるフレキシブルタイム拡大を決定
6月5日 在宅勤務支援金の追加支給(1万5千円/人)を決定
6月10日 「原則出社禁止」から「在宅勤務を強く推奨(要事前許可)」へと変更。出社や接触の記録は継続。

3月から4月ごろにかけては社会状況の変化に伴い頻繁に社内ルールの変更が相次いだため、(誰も不満は口にしていませんが)社員としてもルール変更への追従は大変だったのではないかと思います。
またこの時期は、ルール変更だけでなく、随時「会社としてはこのような対応をとることを考えている」という共有を週に一度程度はSlackや全社向けミーティングを通じて行っていました。

その総括として4月末には感染を控えるために守るべき行動、万が一感染した場合に採るべき行動をパンフレットとしてまとめて配布し連休への備えとするとともに、万が一感染した場合には医療機関や関係者に最小限とはいえ感染情報を伝える必要性が予想されることから、事前にそのための同意をとるということも行いました。

フルリモート体制への移行

もともと各自の裁量で自由に在宅勤務を行える体制であったこと、オリンピックを見据えて全社的にフルリモートの体制を準備しつつあったことから、全社的な在宅勤務への移行そのものは大きな支障もなく行うことができました。とはいえ、全員が完全な在宅勤務となるのは会社としても初めての経験でもあり、小さな点では当初は様々な課題・問題がありました。

例えば、お客様にお渡しする見積もりや請求書などについて、押印した紙でのやり取りが慣習化されていたため、緊急事態宣言に伴う原則在宅勤務に移行した後も数名が順に出社して対応を行っていました。これについては、お客様にPDFでのやり取りをお願いするとともに、紙でのやり取りを希望される場合には日数を要することをご理解いただいてるので現在は問題になっていません。

また、オフィスに設置されている自販機等の保守対応、オフィスの清掃対応などについても、バックオフィス部門では関係するそれぞれの業者との調整が必要でした。ひとつひとつは大きな作業ではありませんが、普段だと意識することもなく提供されるサービスであるが故に見落としがちでもあり、またサービスが細分化されて対応する業者が複数となるため、相応の時間がとられたように思います。

液晶モニターやヘッドセットを持っていないというメンバーもいましたが、長期にわたって自宅が作業環境になるということで、少しでもそういった機材購入の支援を行うため、一人当たり3万円の支度金を支給することにしました。

それ以外にも、派遣社員やアルバイトに関してこれまで出社して作業を行うことを前提とした業務内容や契約でした。急きょ契約内容を見直すとともに社内ルールを変更したり、リモートで作業ができるよう専用PCの準備を行うなど、システム部門がサービス事業部門と調整を進めました。

課題・問題というわけではありませんが、4月末に社内向けに配布した感染時のガイドラインパンフレットは、状況が変化し続けるなかでの短期間での作成にも関わらず、広報部門とシステム部門のメンバーによって、事業継続のため・社員を守るために必要なことが伝わりやすいように緊急時にも迷いなく機能するものが準備されました。

このように、経営陣が事業継続と社員の安全確保の両立を考慮した判断を随時行い、それに応じて間接部門が一体となって全社在宅勤務の体制を整え、一方で事業部門はお客様に安心してサービスを利用いただけるよう従来と変わらない業務を展開するという、振り返ってみるとまさに社内一丸となって対応を進めてきたのだと改めて実感されます。

もちろん、会社としての全体的な体制は整えられたとはいえ、長期にわたる在宅勤務のストレスや子供がいる家庭での時間の確保など、解決の難しい課題もあります。

残された課題

さらに残された課題として最大のものは、各所で言われているコミュニケーションの低下でしょう。

弊社でも現在のところ前述のとおり在宅勤務体制への移行やその中での業務はスムーズに行えていますが、これらがスムーズに進んだ最大の理由は、過去に全社員が築き上げてきた関係性に依るところが大きく、現在の在宅勤務を主とした勤務体制が定着したときに果たしてゼロベースで今のような関係性を作り上げることができるのかというと、簡単ではないなというのが正直なところです。少し極端な言い方をするなら、現在大きな問題なく業務が行えているのは、過去の関係性の貯金を切り崩しているからに他ならず、早い段階で貯金を増やす方向へと舵を切りなおす必要があるのではないかと感じています。

リモートを主とした勤務体制では、コミュニケーションはどうしても局所化・断片化することになり、全体として低下したコミュニケーションに対して会話の機会を増やす、話す時間を増やすといった量的な改善を目指すと、各人の有限な時間を消費しあっという間に破綻することが目に見えています。そのため、コミュニケーションに関しては量つまり回数や時間を減らしながらも質を上げることを全員が求められます。

また、コロナ終息後も在宅勤務と出社の混在が当たり前となり、働く場所や働く時間がそれぞれ異なるという多様な働き方が加速するのは間違いなく、そのような中ではこれまでの会話ベースや会議ベースの同期的なコミュニケーションよりは、テキストベースで行われる非同期なコミュニケーションのほうが合理的になるでしょう。

弊社でもこれまで社内でのコミュニケーションを重視しており、これからもコミュニケーションを重視するという価値観そのものは変わりませんが、その意味するところは変わっていくように思えます。これまでであれば、コミュニケーションをとるということは、すなわち会話する回数を増やす、会話する時間を増やすといったことだと暗黙的に結び付けて行動し、また実際に顔を合わせることが当たり前の状況ではそれが合理的な選択でしたが、環境変化に伴いそういった暗黙の前提を自覚し、自分たちの行動も変化させる必要があると感じています。

弊社のコミュニケーション手段は、まだ質そのものの改善よりも量に頼っている、量を増やすことがコミュニケーションの質を上げることにつながっていた環境に最適化されたものであり、今後これをどのように量に頼らない質の向上に転化するのかは大きな課題であると考えています。

みなさんの会社でのコミュニケーションに関する課題やその改善方法などについても教えていただけると嬉しく思います。

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この記事の筆者

筆者

はせがわようすけ

(株)セキュアスカイ・テクノロジー 取締役CTO